『RENT』というミュージカルをご存じでしょうか?
この『RENT』始めは、オフブロードウェイの小さな劇場で上演されたのですが、瞬く間に人気となり、2か月後にはブロードウェイでの上演となった伝説ともいわれるミュージカルです。
ブロードウェイミュージカルなので、知っている方もいるかもしれません。
ポップでパンクなノリのよい歌ばかりなので、ミュージカルにはあまり馴染みがない人も楽しめると思います。
私がこのミュージカルを知ったのは、1998年の日本初演の公演でした。
友だちがチケットをくれたので、何の予備知識もないまま、初めて生の公演を見ることができたのですが、
これが本当にすごかった!とっても圧倒されまくりました。
物語は、もうクリスマスも近いのに、家賃を払うお金もなくてマークが「どうしよう!」と言うところから始まります。
マークと同じアパートに住む、ロックミュージシャンだったロジャーはHIV陽性者。
自身もHIV陽性なのを嘆いて自殺してしまった恋人を今でも想っています。
そして自分の命のタイムリミットを感じて無気力になりながらも、死ぬまでに名曲を残しておきたいと思っています。
そこへ同じアパートに住む、ミミというダンサーの女の子が「キャンドルに火を貸して」とやってきます。
実は彼女は薬物に手を出していて・・・
といった感じで、登場人物はHIV陽性者・非陽性者・レズビアン・ゲイ・ノーマル・白人・黒人・ユダヤ系・ヒスパニック系・ドラァグクィーン・貧乏・金持ちなど個性豊か!
(彼女を女性に寝取られたマークが恋敵のジョアンナとタンゴを踊ったり、もうハチャメチャ)
※ぜひ英語のリズムで聞いてみてください。韻が踏まれていて心地よいです。
ジョアンナはマークの元恋人のモーリーンと付き合っていますが、恋多きモーリーンのそばにいるとヤキモキさせられておかしくなりそう!
そんなジョアンナに(モーリーンの)元カレのマークがいろいろとアドバイス(?)するシーンです。ちっとも解決してないけど・・・💦
この人物たちが、どん底と思われる中でも、どうやって命を燃やしていくのか
人との繋がり、信頼、裏切り、そういうのがある中で、自分は何を選ぶ?どう生きる?と問いかけます。
人の一生は振り返ってみるとあっけないもの。
どんな人でもいつかは死んでいく。
元気だと思っていた人が先に亡くなって、いつ死んでもいいと思っている人が長生きするかもしれない。
病気は自分にもタイムリミットがあることを教えてくれている。
自分が死んだあとに残るのは、どう生きていたかという事だけ。
かぎりある命、どう生きる?
なにを基準に生きる?
今ある命をどう輝かせる?
どんな人でも、一年は525600分、それをどう過ごす?という、このミュージカルのテーマ曲です。
love=愛なんて堅苦しく考えないで、あなたの心の内側から湧き出てくるものは何でしょうか?
それぞれが自分の大切なものは何なのか?
何のために生きていくのか?
そしてどう生きていきたいのか?など感じさせてくれるお話です。
日本公演だと、人種の違いによる葛藤がわかりずらいかもしれませんが、そこは映画版の「RENT」もあるので!
どんな個性(人種・マイノリティ)があっても時間は公平に平等に与えられています。
時間は命。
その時間ををどう使っていくのか。
そして、生ききったあと、その先に何を残していけるのか?
この「RENT」を書きあげたジョナサン・ラーソンは公演初日に急死し、作り上げたステージを見ることなく逝ってしまいました。
しかし、彼の意志をつないだ人たちによって「RENT」が生き続けるのは素敵なことだと思います。
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